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周回遅れのトップランナー


1980年代後半、日本がバブルにおおわれていたころ、上の写真は「新旧の対比が織りなす景観」などと呼ばれていました。当時の京都市政や地元マスコミは、「景観で飯が食えるか」なんていう番組でキャンペーンをはり、こうした町なかへの乱開発を容認してきました。古い町並みのなかに高層建築物が建っている景観が良いか悪いかということに社会的評価が定まっていなかったのです。

しかし今この景観をそう呼ぶ人は少ないでしょう。町家が高密度に集積し住み合いの知恵を蓄積してきた歴史的都心街区それ自体が文化遺産であり、そのなかに高層建築物を建てること自体がその破壊であるという見方が定着し、世界遺産指定に結実しています。

忘れてはいけないのは、この景観破壊は住民の追い出しと住環境の破壊と一体のものであり、多くの住民・市民運動がおこりました。それはとりもなおさず世界遺産を守る運動だったということになります。

日本の多くの大都市がその中心部を業務と商業ビルにあけわたしてきました。1200年以上、木造文化を守りながらこれだけ多くの人が住み続ける百万都市は周回遅れのトップランナーといえると思います。 (ki)


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