間取りの大きな変更は水廻りを介してぐるぐる回れるようにしたこと。食事も落ち着いてとりたいし、お昼寝もあるし。
もともとはコンクリートに直に塩ビシートをはってあった床、子どもがコロンとこけたときの衝撃を考えるとそのままではだめです。お金はかかりましたが、木で下地を組んで桧の板を張りました。
0才から走り回るのが楽しくてしょうがない2才まで同じ空間。ゆるく間仕切る柵戸が必要です。お休みタイムのずれもありますが、少人数でもあるので、音と光の問題はロールスクリーンで緩和です。
小さな空間でもあるので、部屋になじむようなデザインを心がけました。
業務用の器具をいれず、やっておられます。ひとりひとりがよく見えます。
いつも、ゆったり・ほっこりとした時間が流れています。
これが苦労してつくってもらった沐浴槽。ステンレスにはない風合いがあります。となりはお着替え台です。
当然、園庭がないので、お散歩はとても大事。入り口も変えられないサッシのまま。 「くつ、ゆっくりでええしなー」
小さな保育室(家庭的保育事業)
京都市に導入された家庭的保育事業。制度としての不十分な面もあるようですが、まったなしの待機児童がおられる状況のなか、きちんとした構えをもった社会福祉法人が保育士体制を整えて実施することは求められていることだと思います。
今回は、この家庭的保育事業制度にもとづいてマンションの一住戸を保育室に改装するお手伝いです。予算もきびしい中でしたが、打ち合わせをするほどに子どもの生活の場にふさわしい内容として盛り込むべきことがよりはっきりしてきます。
もともとコンクリートの直貼りの板床でしたが、その上に木の下地を組み桧板貼りとして、子どもが転んでも少しクッションが働くようにしました。また、保育室にふさわしい水回りへの改修、お昼寝中のタタミの間を通らないように裏動線の確保、などがコンセプトです。
小さな沐浴槽は、施工者の田中工務店さんとも細かい打ち合わせをし、FRP製の手づくり感のあるものをつくってもらいました。
竣工して半年して訪れましたが、入った瞬間になんとも落ち着いた雰囲気にほっこりします。0歳から2歳までの5人の子どもたちと保育士さんたち。おやつのあと0歳児の子どもの落ち着いた夕方の時間を確保することも合わせて、大きい子どもたちは楽しみなお散歩に出かけていきました。
保育制度が大きな転換点を迎えようとしているとき、いろいろな話を聞かせていただき、われわれも大変勉強になりました。
京都市 2014年